任意売却の費用

 

任意売却をするには、不動産業者の仲介手数料や抵当権抹消費用などががかかります。これらの費用は、本来なら債務者が負担するべきものです。

しかし、住宅ローンを返済することができない債務者にこれらの費用の支払いを要求するのは、無理な話です。

そこで、任意売却を可能にするには、不動産を売却処分して得た売却代金の中からこれらの費用を債権者に負担してもらうことになります。

このような理由により、原則として任意売却の費用を債務者が負担することはないということになります。

 

 債務者が負担する必要のない任意売却の費用

 不動産業者に支払う仲介手数料

任意売却の仲介をした不動産業者に対して、売却価格×3%+6万円の仲介手数料を支払う必要がありますが、これは売却代金から支払われるため、債務者の持ち出しはありません。

 

2 登記手数料

担保権がついた不動産を買う者はいないので、抵当権などの担保登記を抹消する必要がありますが、これも売却代金から支払われるため、債務者の持ち出しはありません。

 

3 マンションの管理費・修繕積立金

マンションの管理費・修繕積立金等は、通常は買主が引き継ぐべきものですが、そのような費用負担のあるマンションを購入する人はおりません。そこでこれも売却代金から支払われることになり、債務者の持ち出しはありません。

 

4 後順位抵当権の解除料(ハンコ代)

総債務が不動産の売却代金よりも多い場合は、第1順位の担保権者でも債権の全額を回収することは困難です。まして、後順位の担保権者は全く回収できないことが多いということになります。しかしこれでは任意売却を成立させることは出来ません。後順位の担保権者としても全く回収できない可能性が強い競売よりも、多少なりともハンコ代をもらって抵当権抹消の応諾した方が利益です。そこでこれも売却代金から支払われることになり、債務者の持ち出しはありません。

ただ、ハンコ代の額をどのように決めるかは、住宅金融支援機構などの第1順位の担保権者との間の交渉によります。

住宅金融支援機構は、後順位の担保権者の担保権抹消承諾料(ハンコ代)を次のように定めています。

2番担保権者に対して30万円または残元金の1割のいずれか低い方

3番担保権者に対して20万円または残元金の1割のいずれか低い方

4番以下に対して10万円または残元金の1割のいずれか低い方

 

売買代金から必ずしも控除されないもの

1 引っ越し費用

任意売却の決済日が決まったら、決済日までに引越を済ませておかなければなりません。そのためには、引っ越し費用の他、仲介手数料・敷金・前家賃などの諸経費が必要となります。しかし、債権者がこれらの引っ越しにかかる費用をすべて負担してくれるわけではありません。出してくれる場合でも、せいぜい20万から30万程度です。かつ、その場合でも支払いは決済後です。したがって、転居のためのこれらの費用は、前もって準備しておくことが必要です。

 

2 税金などの差押

抵当権などの担保権と税金の差押えの優先関係が問題となります。税金の法定納期限が先であれば登記の受付日に関係なく税の差押えが優先します。

ただ、国税徴収法は、「差押えることが出来る財産の額が、その差し押さえにかかる滞納処分費及び徴収すべき国税に先立つ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額を超える見込みがないときは、その財産は差し押さえることが出来ない」と定めています。(無益な差押えの禁止)。  

国税徴収法は、この無益な差押えの禁止とともに「無益な差押えの解除」も規定しています。

税金の無益な差押えがなされた場合は、滞納処分による差押えまで配当が回らないことを説明して、競売となって税金の回収が0となるよりも、解除料を得ることで少しでも回収した方がベターであることを主張します。



多様な解決手段の提案

 

当事務所は、10年ほど前から任意整理・過払い金返還請求などの債務整理業務に携わって来ました。この時のノウハウを任意売却の業務にも生かすことができます。例えば、任意売却をする前に、ご相談者にある一定の条件がある場合は、個人民事再生の制度を利用して、不動産を手放さなくてもよいようにすることもできます。

 

また、任意売却をした後で、残債務をどのように処理していくかという場合でも、どうしても残債を支払えない場合は、ワンストップで破産手続きにスムースに移行していくことが出来ます。

 

ご相談者にある程度の支払い能力がある場合は、債権者との交渉ができる範囲での分割金を支払っていくといういわば任意整理にもスムース移行していくことが出来ます。


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